それは10月23日のこと……
ピンと糊がきいた白いシャツと黒いスラックスを
粋に着こなしたロマンスグレーの一団が秋月にやってきました。
それぞれに大きな荷物を持ち、
会場に組み立てていくのは本格的なコンサートさながらの譜面台。
一体何が始まるのか!?と、
職員もそわそわと何度もリハーサルを覗きに行ってしまいました。
実はこの日、秋月にご入所のT様のご親族の御計らいで、
お誕生日の月に、本格的なJAZZバンドを招いてのコンサートを開催することとなったのです!
プロでステージに立つ奏者の方、アマチュアの方と様々とのことでしたが、
準備の様子だけを拝見していても、
皆様ステージ慣れしている相当な手練れである様子が伺える立ち居振る舞い。
ドラムセットまでも自前でご持参下さり、
秋月ホールはあっという間にコンサート会場に早変わり。
金管バンドは今までにも何組かご来所いただいておりましたが、
JAZZというか、
スカパラ的なライブはもしかして初めてかも???
実はこの日、秋月では大きな会議が予定されていたのですが、
「聴いてみたい…。」という思いを抑えきれず、
施設長や顧問も会議前に秋月ホールを覗きに来ていました。
「洋楽には疎くてね…。」
横文字のセットリストに不安そうだった利用者様も、
いざ演奏が始まると楽しそうにスウィング!
ドラムとピアノも相まって、至近距離からの金管楽器の何とも迫力満点なことと言ったら!
しかし、不思議とうるささを感じさせないのは、
やはりプロの音色のなせる業かもしれません。
ソロの見せ場では、客席から自然と拍手が沸き起こりました。
「素晴らしい演奏でございます~! 感謝感激雨あられ‼」とY様。
「ブラボー‼」と声を張り上げて声援を飛ばす方もいらっしゃれば、
満面の笑顔や感涙で賞賛を称える利用者様も。
中でもこの日、沢山のご家族に囲まれ、
会場の誰よりも嬉しそうに、楽しそうに演奏に熱心に耳を傾けていらしたのは、
この企画のメインのお客様、T様でした。
亡きお父様が音楽家であったというT様。
幼い頃に聴いた懐かしい曲や、
ピカピカの金管楽器やドラム、ピアノといった本格的なJAZZの生演奏、
どんなに嬉しかったことでしょう。
そして何より、
この日のためにご家族の皆様がいらして下さり、
こんな素敵な時間を共有できたこと……。
感激や嬉しさが素敵な笑顔になって溢れ出るようなT様でした。
コンサートの間中、目をキラキラと輝かせてステージを見つめていらしたT様に、
職員の胸も熱くなりました。
堀内様、貴重なステージを有難うございました。
また次回があることを、
職員一同、心よりお待ち申し上げております!