それは皆様が楽しみにされている15時のおやつを召し上がり、
お茶もそろそろ飲み終わって、
さぁこれからどうしようかと皆様が相談されていた時のことです。
相撲まではまだ少し時間があるし、
退屈な午後のサスペンスでも観ようか、
いやぁね、あなたそれ昨日も一昨日もだったわよ、と、
いつもと同じ平和なやりとりがユニットでくり広げられていたのですが……
「皆さん! ――歌は、お好きですか⁉」
ギターを抱えたさすらいの介護士!
……ではなく、ギターを構えたユニットリーダーの職員O氏から、
歌でも歌いませんかとご提案。
「伴奏があるなんていいわね!」
「あなたがせっかく弾いてくれるっていうんなら、歌いましょう‼」と、
皆様俄然やる気になりました。
「何歌いましょうか。僕たちなんでも弾きますよ」
3ABユニットには楽器が出来る職員が何名かいます。
ギターを弾けるO氏の隣には、
ピアノを弾ける介護職員 O嬢もスタンバイ。
「ふるさと」「こいのぼり」「はるのおがわ」「はるよこい」「朧月夜」…
「いっぱいあって悩んじゃう」
「これなんか懐かしいわね」
歌詞の本を開きながら、皆様楽しそうに歌いたい一曲をリクエストされます。
川内麻紀さんのピアノと唄の会、小さなピアノと唄の会で
音楽には親しみ深い秋月入居者の皆様。
麻紀さんもよく仰いますが、
音楽は世代を超えて人とひとを繋ぎます。
色々なご病気や障害がある方にも、
ことばよりもスッと入っていくことがあります。
気持ちの昂ぶりが落ち着いたり、
時には感情移入して涙を流すことや大きな声を出すことが、
ストレスの発散になったり。
3階の廊下までも、
ギターと、ピアノと、皆さんの歌声が響いていきます。
「いい歌だね。」と、しみじみW様。
「もう一回歌いたい。」
「次はこの曲がいいな。」
皆さん、終始よい表情で、
歌声とギター・ピアノの音色のハーモニーを楽しまれていました。