以前お話しした矢印の取り組みから、色々な効果が出たお話をしたいと思います。
利用者様の気分を矢印で表すようになり、「今日の〇〇さんは↑、△△さんは↘かな~。」
と、判断する際に職員間で相談することが増え、その結果、
情報の共有にも自然と繋がりました。
「〇〇さん、昨日受診日だったから今日は疲れているみたい。」
「昨日、久しぶりに親戚とあった様子。」等の細かい情報が
矢印の判断材料に使われ、一人一人の来園時の状態が今まで以上に
理解できるようになりました。
矢印というわかりやすい表示も、現場で忙しく動いている職員にとっては
素早く情報を取り入れることができ、よかったと思います。
次に矢印が下がっている利用者様にどうアプローチをかけようかと
相談が始まりました。
「〇〇さんは将棋が好きなので将棋をしてみようか・・・。」
「△△さんは入浴目的で来ているが、他に何かできることはないか。」
「̻◇◇さんは他者との関係があまりうまくいっていないから、
せめて入浴だけでも気持ち良く入れるよう支援してみよう。」
というような感じです。
矢印の取り組みを始めた当初、利用者様のW様は矢印が下向きでした。
「毎回、矢印が↓なので、入浴でアプローチをかけよう。
矢印を上に向けよう。」
この言葉だけで職員は個々に動き出します。
お風呂の順番や、一緒に入る利用者様等の変更、入浴後のデイルームまでの誘導の仕方の変更
を行い、結果、矢印はいつの間にか上に向いていました。
W様からも「お風呂もゆっくり入れてうれしい。極楽じゃ。」と
いう言葉が聞けるようになりました。
矢印の取り組みをするようになり、その日の利用者様一人一人の
「言葉には出ない気持ち」
まで考えるようになり、そこの気持ちをよい状態に持っていこうと
考えるようになりました。
また、利用者様の下に向いている矢印を上に向けた時の達成感や、うれしさを
職員間で共有することができました。
職員皆が一つの目標に向かい、進み、目標を達成したときに同じように分かち合えることで
チームとしてまとまっていったように思います。
こんな簡単な取り組みが、こんな大きな効果をもたらすとは思いもよりませんでした。
矢印の取り組みは始まったばかりで、まだまだ改善点がたくさんあります。
今後も取り組みは続けていき、利用者様の矢印が当たり前のように
↑(上に)に向くように頑張っていきたいと思います。